問題解決のためのデータ分析

読んだ。

 

「手に入れたデータから何が分かるのか、それらをどう処理すれが洞察が得られるのか」ではなく、

「問題を解決するには、どんなデータをどんな方法で収集・分析すればよいのか」について学びたくて、本書を選んだ。
結果として、どんな風に問題解決のためのロジックを立てていくのか、何となく概要がつかめた気がする。
以下、内容・感想。

 

問題に対処するための全体的な流れが俯瞰できる

初心者としてはこれがありがたかった。何となくこうすればいいんだろうな、みたいな知識はあるかもしれないけれど、こうやって言語化してもらってると理解が深まる。
本書では、問題解決のアプローチについて、
現状の理解→原因の見極め→打ち手の決定→実行
という段階を経ることを説いている。
ここでデータ分析が力を発揮するのが、「原因の見極め」の段階である。ここはさらに細分化され、
課題の見極め→仮説の洗い出し→分析・作業定義→情報源の収集→分析
という段階に分けられている。
データ分析は特に「仮説の洗い出し」の部分にて、その仮説を検証するためのメインの材料となる上、それら仮説の検証順序の優先順位の指標にも力を発揮すると述べられている。
具体的なデータ分析を行う際の準備段階での方法論として、ロジックツリーやイシューツリーについて紹介もなされている。

 

詳細な方法、技術は含まれていない

統計的・数学的手法についてはほとんど触れられていない(例えば主成分分析など)。
しかし、このおかげで初学者はスラスラと読みす進めることができて、段階一つ一つにいちいち足止めされないため、結果として全体的なアプローチの感覚が身に付くのではないかと思う。
また僕にとっては、ある課題が与えられたとき瞬時にその解決方法を「述べる」ことが当面の目的であるので、この点は全くマイナスポイントではない。
しかし、数学的手法などについて詳しく勉強したいのであれば、別の本を参考にすることをおススメする。

 

データの収集方法についてまとめられている

既に実務を経験されている方にとっては当たり前のことかもしれないが、例えば人口統計や消費動向などが総務省統計局のWEBサイトに掲載されていることなどが挙げられている。
その他にも、様々な調査方法の実施についてのメリットデメリットなど述べられており、これまでにデータ収集を実務として行ったことの無い場合は、事前知識として参考にできる点は多いだろう。

ある意味、具体的過ぎて少し陳腐な部分ではあるので、他の参考書には詳しく書かれていないことも多いはず。

 

具体例が豊富

初学者が新たな理論を身に付けるとして問題となる点の一つに、彼らには理論に納得感を与える経験値が不足していることが挙げられる。
本書は具体例を最終章に多数掲載し、それまでの章で得た理論に納得感を与えることに成功している。
知識を与える段階で具体例を挟みすぎると、読むペースがまばらになり、結果として全体を俯瞰した知識の習得の妨げとなる場合があるが、本書は最終章にある程度まとめることによりこれを解決しており、一度の読了で大体の知識が身に付くよう丁寧に構成されているように感じた。

 

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以上、ざっと読んだ感想。
あまり身構えて読まなければならない本でもないし、興味がある方は読んでみてはいかがだろうか。

 

問題解決のためのデータ分析

問題解決のためのデータ分析