僕は、コーヒー王になるよ。

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書評(本の紹介?)みたいなのをしてみる。

 

技術的な本について書くのは味気なさそうだから、とりあえずは普通の小説についてやってみることにしよう。

 

 

レヴォリューションNO.3 という小説

 

実家にずっと置いてある本なんだけれど、この本はもう何回も読み返している。

何度も読ませるような、素晴らしい内容だ。

 

 

舞台は都内のある底辺(自他ともにそう認めている)高校である。

そこへ通うバカな生徒たちが、当然のように起こすバカなことを、とても魅力的な切り取り方で描いている。

 

 

 

彼らにとって、世界は間違っているという。

しかし彼らはただ指を加えてそれを眺めているわけではない。

だからこそ彼らは、行動を起こさずにはいられないのだ。

そして彼らは行動し出す時、決まって「世界が、僕らの世界が正常に機能しだした。」と彼らは確かめ合う。

 

世間体なんかよりも自分たちが今持っている気持ちを大切にするという、根本とも言える考えを、彼らはなんの疑いもなく実行に移すことができる。

それは見ているものに清々しさと、無謀とも言える勇気を分け与える力がある。

 

 

僕はこのセリフが結構気に入っている。

(外の)世界が変わった、というではなく、「彼らの」世界があくまで正常に動き出した、たったそれだけのことであるが、彼らはきっとそれで満足なのだ。

世界は間違っているとは思っていてもそれを無理に変えようとはせず、「彼ら」世界が正常に機能しさえすればそれでいいのだ。

 

 

彼らは、例えば学校のテストだけみればどうしようもないバカだ。

それはこの世界を生きていく上で大きなハンデとなってしまうが、彼らはそんなことは気にしない。僕らは時としてそれを守ることができないが、彼らは、彼ら自身の世界を守ることこそが最も大切だということを知っているのだ。

 

 

彼らのそんな生き方が、心に触れる。

自他ともに認める社会の底辺が自分たちの場所であっても、自分たちの世界がそこにあるのならば、それだけできっと素晴らしいことなんだろう。

 

 

 

正直レヴォリューションNO.3は、どこにでもあるようなバカ高校生の日常を描いた小説だ。

でも、この本には他の小説にはない「煌き」のようなものがある。

文学的な価値なんてそこには求めなくていい。揶揄されている作者の思いなんて気にしなくていい。

彼らと、その彼らの起こす行動をただ追っていけばいいのだ。

それだけで彼らの持つエネルギーを少しだけ分けてもらえるような(彼らはそのエネルギーを個人で抑えることなんてできないのだ)、そんな小説である。

笑いがあって、非常に読みやすい小説だ。

 

 

彼らは現状になんか、自分たちの未来になんか、ましてや外の世界になんか期待していない。

彼らにとって最も大切なことは、「彼らの世界」を精一杯楽しむことなのだ。

 

 

僕が最も笑って、感動したセリフで締めくくる。(一体何のことかわからないと思うが)

「僕は、コーヒー王になるよ。」

 

 

機会があればぜひ手にとっていただきたい。

 

レヴォリューション No.3 (角川文庫)

レヴォリューション No.3 (角川文庫)