TeXのススメ

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皆さんはTeX(テフ)という文書作成ソフトをご存知だろうか。

 

皆さんは文書作成ソフトと聞いて、すぐにOfficeのWord(Microsoft社)を思い浮かべるんじゃないだろうか。

 もちろんWordは優れたソフトであるが、もっと高度な文書を作成しようとするならば、TeXという文書作成ソフトがオススである。(LaTeXも同様)

 

 

例えば、学生の論文作成や、数式が飛び交う技術的な資料、いくつかのフォーマットで提出しなければならない文書などを作成する場合などであれば、TeXで書いたほうが、作成の手間としても、出来上がりの美しさとしてもWordより優れたものが出来上がるのだ。

 

 

TeXの利点

 

まず、簡単に思いつくTeXを利用する利点を挙げると、

  •  Wordなどに比べて、美しい文書を作成することができる
  • かなり細かいところまで設定できる
  • 画像や図の通し番号が自動で振られるなど、多くの文書作成支援がある
  • 数式などWordでは書きにくいものも綺麗に書ける
  • 配布されているテンプレのようなものを使うことで、簡単にきれいなフォーマットが手に入る
  • 無料である(Wordは有料)

などがあげられるかと思う。

具体的な例を上げると、例えば本のような仕上がりに仕立てることなどもできる。

つまり、偶数ページは少し左寄りに、奇数ページは少し右寄りにずらして、ページを綴じても見やすくするようなフォーマットが用意されていたりする。

 

TeXでは多くのシチュエーションに適した文書をそれぞれ美しく作成できるよう、いろいろな環境が用意されているのである。

 

 

なぜTeXはあまり使われていないか

 

ここまでTeXの利点を書いてきたが、正直TeXなんて初めて聞いたという人ばかりではないかと思う。

そんな知名度の低いソフトに本当にそんな優れた機能があるとは思えないと言われる人もいるだろう。

しかし、TeXは日本ではもちろん、海外でもアカデミックな文章を作成するときにはよく利用されており、例えば大学の論文では、TeXで記述したデータでないと受け取ってくれない機構や教授もいるほどらしいのだ。

実際僕の在学していた高専にもTeXでの記述でしか論文を作成させない研究室もあったし、分野によっては必須のソフトなのである。

 

 

しかし、TeXがあまり使われていないのには理由がある。

 

TeXはなんといっても修得するのが難しいという点がデメリットとなり得ると思う。

HTMLのようなマークアップ言語であるから、Wordのように何も勉強することなくキーボードを打つだけで文書を作成できてしまうわけではないのだ。

TeXは、美しい文書を作成する力があり、それを実現するために多くの設定を行う命令があるが、これがTeXを修得することを難しくしていると思う。

Wordでの仕上がりで十分な文書では、わざわざTeXを使う必要なんて無いという考えである。

 

また、環境構築が難しいという点が挙げられる。

最初の導入がすでに難しく、また新たな命令が欲しかったら、クラスファイルやスタイルファイルなどという命令の元となるデータを逐次追加しながら自分が使いやすいTeXの環境を作っていかなければならない。

しかし、Wordなどと違って無料で使用できるソフトであるので、そのくらいの手間はしかたがないとも言えるだろう。

 

 

 

 

TeXはそんなに有名なソフトではないが、TeXをこれまで知らなかった人も、少しはTeXの魅力を知っていただけたかなと思う。

Wordとは一長一短で簡単にどちらがいいということはできないだろうが、やはりTeXを使いこなすことができるのであれば、やはりTeXを使ったほうが美しい、より洗練された文書を作成することができるのではないかと思う。

 

僕も高専卒業論文TeXを用いて書いたし、結果的にそうして良かったと思っている。

 

 

ただし、前項にも書いたように導入が少し難しくここで挫折してしまう人も多いと聞くので、その導入法について次回記そうかと思う。

 

 

[改訂第6版] LaTeX2ε美文書作成入門

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